無料の動画教材は生徒の負担が大きい。
概要
2015年以降、アメリカの大手企業が提供する動画配信サイトにより、無料の動画教材がインターネットで多数閲覧可能になりました。便利な世の中になったものです。また、2015年頃からスマホの普及率が5割を超え、パソコンで視聴していた頃より、より手軽に長時間視聴するのに耐える環境が安く用意できるようになりました。
安くて表現力豊かな教材が増える事で、都内と地方の情報や経済格差による勉強成果の差が縮まると期待しました。例えば、大学受験において、参考書を買い揃えるだけでも総額10万円程度します。更に、地方はそもそも本を買うための本屋がない地域が多いです。本屋は2000年頃から続く出版不況により、廃業が相次いでおり、回復の兆しはありません。都内と地方で、競争環境が公平に近づくのは良いです。ただし、動画は玉石混交であり、書籍と同じ質を担保できません。また、実際に動画を長時間視聴してみると、視聴者にかなりの負担である事も実感しました。大人達はその点を誰も考慮できていません。
今の所、動画教材は出版社など提供側の論理が優先されています。生徒目線でこれをこなした場合、それがどの位大変なのか、全く考慮されていないように感じます。そこで、代表が実際に体験してみます。
日本は米国のような公正さである fair use は認められていません。不可解で恣意的で厳しい著作権法があるので、動画の名前を挙げるといった詳しい言及はできません。米国と法治主義の前提が異なっています。日本に限りませんが、欧米程アジア諸国は法整備が進んでいないので、表現に制限がある事実は致し方ありません。
2022年時点で視聴回数が数億回に達している某教材の動画時間を記録してみました。日本市場で一番人気だと判断しました。全て観ると400時間を超えます。また、一度の視聴で、用語や公式を暗記する事は不可能です。そこで、繰り返し視聴する事になります。例えば、5回ずつ視聴するだけでも2,000時間となります。これは高校3年間の授業時間と同じ長さです。非常に長く、子供に限らず大人であっても大きな負担です。おそらく高校生の1割もこの水準を越えられないでしょう。
更に、後述のようにこの某動画教材だけでは、単元不足や演習不足になります。そこで、教材を一つに限定せず、他の配信者の動画も一部取り入れて概算しました。視聴時間の概算は、約4,000時間になりました。これだけ徹底する人はおそらく日本に誰もいないと思います。
代表はとりあえず7回視聴する事にしました。7回は高学歴で有名な方が著書で主張していた回数で、深い意味はありません。学習習熟度には個人差が相当あります。ただし今の世の中、3回以下の視聴で「わかりません。できません。」と訴える人ばかりで、皆さんは自己の能力を過信する傾向があります。部活動などスポーツでは基礎練習を数百回も繰り返すのに、勉強には適用しないのは不思議です。何事も石の上にも三年の精神です。
数学:4,247時間
- 数学1A:58時間、331本の動画、動画1本で約10分
- 数学2B:69時間
- 数学3:61時間
- 難易度:偏差値50、2015年頃までのセンター試験はこれでなんとかなりましたが、ゆとり教育以降のセンター試験、共通テストの水準には達していません。応用問題演習が別に必要です。
合計188時間です。
動画は講義と例題のみです。応用問題の解説はありません。また、演習量も不十分です。公式の導出も殆どありません。用語の定義も不正確です。親しみやすさを演出する為でしょう。細かな懸念を挙げればきりがありません。それでも、無料動画という一点だけで費用対効果に優れています。
- 視聴年月:2022/2-2023/12で5回視聴済
- 視聴予定:2025年までに7回視聴で1,316時間
- 難易度は偏差値50、2015年以降のセンター試験、共通テストの出題傾向の変化には対応できていません。難関国公立の二次試験にも対応できません。これだけだと共通テスト得点率6割程度が限界だと思います。
応用演習は他の動画を探して見たところ、東大や京大などの数学が特に難しい大学に絞った解説動画を見つけました。別の個人の配信者になります。いくつか見たところ、記述を十分に配慮した解説をしていました。
- 266動画
- 概算で133時間
- 視聴予定:2024年6月から7回で931時間、2031年に視聴完了予定
- 難易度は偏差値70、市販の最難関教材相当
これらとは別に問題集を使った演習も必要です。大問1万問程度、2,000時間もかければ十分でしょう。近年の数学試験は時間制限が厳しく、代表のように単に解けるだけでは時間切れになります。計算の工夫を駆使したり、繰り返し練習して習熟度を高めなければなりません。
全て合わせると数学だけで4,247時間になります。英数は大学受験の合否の決め手になる科目なので、他の科目の倍の時間をかけたい所です。これでも正確性や網羅性は不十分なので、大学受験の勉強は高校3年間程度ではそもそも難しいです。
英語:1,000時間
- 文法:74:26時間、534本の動画、7回視聴で525時間
- 単語・熟語:vocabularyといいます。動画なし。合わせて語彙といいます。英語の学習で最も時間をかけて学ぶ単元です。
- 読解:動画なし。大学受験のリーディングで最も配点が高い単元です。
- リスニング:動画なし。英語で最も配点が高い単元です。
- 英作文:動画なし。現代文の作文と似ています。
- スピーキング:動画なし。日本の大学受験では問われません。
英語も同じ配信者の動画です。こちらの動画内の解説者は大手予備校の講師のようです。
英語も数学同様で、様々な要素が足りません。語彙は英単語アプリや英作文の演習を別に勉強しましょう。大学受験英語にスピーキングはありません。これでは会話にならず実用性はありません。英会話は大学生から独学しましょう。受験勉強と実用性は両立しません。
- 視聴年月:2022/2-6で3回
- 視聴予定:2025年までに7回
その他の動画を探してみましたが、受験英語に耐えるだけの十分な質と量を備えたものは見つかりませんでした。文法の動画だけ観ると7回で525時間になります。
仕方ないので現状ある範囲で、複数の配信者の動画を組合せて視聴してみます。
いろいろ探した結果、不人気ですが出版社が提供する有名な文法書の解説動画を見つけました。網羅性は優れています。ただし、動画が600本以上あるので、高校生に全てを繰り返し視聴するのは過酷過ぎて無理でしょう。動画の質は十分な印象です。これらを追加すると1,000時間程度になると思います。
リスニングはポッドキャストがおすすめです。無料かつスマホで移動中でも視聴できます。日本語と英語を混在させる放送が人気です。代表は極力英語が多い、もしくは英語のみの放送のものを視聴しています。2016年から2022年まで実施しました。2020年のセンター試験ではリスニング9割以上得点できています。ほぼ満点です。最近はドイツの国際放送であるDeutsche Welleを視聴しています。英語の大手のニュース番組であれば何でも良いです。
共通テストはセンター試験の頃より格段に難しくなっています。私の実績はセンター試験の英語は85%くらいだったかと思います。共通テスト英語は164/200で82%でした。
国語:2,617時間
- 現代文:動画なし
- 古文:12時間、文法のみ。漢文より覚える用語数ははるかに多いです。
- 漢文:19時間、文法のみ。漢文の文法は句法と呼ばれます。
- 合計:31時間
国語は語彙が足りません。古文単語、漢文は読解が足りません。動画視聴では、単語や文法の暗記確認が徹底できません。演習書や無料アプリを使って演習量を積む事が必要です。動画を2023年までに7回視聴予定です。想定視聴時間は217時間になります。
- 視聴年月:2018/10-2021/12で3回
- 視聴予定:2023年までに残り4回
読解、文学史、作文、修辞法など様々な要素がありません。参考書でも全てを網羅するのが難しいので、動画はそのごく一部でしかありません。
読解は他の配信者のものを見つけました。個人の配信者のようです。再生回数は1桁少ないです。非常に解説が丁寧です。1,000動画程度で、300時間とします。古文単語や文法で身につけた知識を、実際の文章に当てはめて解釈する練習をします。7回視聴すると2,100時間かかります。
国語は作文など記述が最も大切な要素です。ただし、現在の受験参考書の大半は読解に偏っており、作文を扱っていません。代表が中学生や高校生の頃は毎日のように作文課題を出されており、原稿用紙一枚400字を書くのが当たり前でした。参考書がないので、動画もありません。
視聴予定時間は2,617時間を予定しています。
理科:2,628時間
- 物理:77時間
- 化学:43時間
- 生物:84時間
- 地学:動画なし
理系受験は2科目選択、文系は物理基礎などの基礎科目を2科目選択、大学によって募集要項に物理必須などと述べて科目を指定される場合もあるので注意しましょう。
地学は二次試験の受験科目に選べない大学が多いので、動画も作られないようです。探せば再生数の少ない動画はいくつか見つかります。
いずれの教材も演習量が足りません。問題集を使った演習が別途必要でしょう。文章題は問題集を使ってしか演習できません。
物理はG社の無料動画を後で見つけました。解説がとても丁寧で、気に入りました。追加します。こちらも7回視聴予定です。約1,200時間追加になります。
代表は2030年までに物理、化学を各7回視聴します。
- 視聴年月:2018/10-2022/7 化学は5回、物理は2回、生物は1回視聴済
- 視聴予定:2018/10-2030/12
- 視聴予定時間:1,809時間
社会:532時間
- 世界史:76時間
- 日本史:未集計
- 地理:40時間
- 倫理:動画なし
- 現代社会:動画なし
理系は1科目、文系は2科目選びます。大学が科目を指定している場合が多く、世界史、日本史、地理が選ばれる傾向があります。倫理や現代社会はこだわりがなければ選ばなくて良いです。
2025年の共通テスト以降は、「歴史総合・世界史探求」といった名前に変わりました。文科省は日本史を一部世界史で問うなど、日本史と世界史を合わせた歴史という一科目にしたいようです。
2024年までは世界史・日本史・地理はAとBと難易度で分類されていました。入試では難しいBの科目を求める大学が多いので、Bを選びます。
代表は2020年センター試験を文系受験してみました。地理Bと世界史Bを選びました。地理の動画はまだ1回しか視聴していません。センター試験の地理Bは70/100点で、統計から計算した偏差値は52だそうです。
代表は札幌で家庭教師を始めた2018以降、2022年までに世界史の動画を7回視聴しました。2018年10月から2022年6月までの約4年間です。世界史の視聴時間は532時間でした。
2020年センター試験の世界史Bは70/100点でした。この時点では視聴回数は3回だったと思います。統計で計算すると偏差値53だそうです。高校生以来、15年以上世界史を全く勉強しなかった割にはよく覚えている方だと思います。
ただし、高校生の頃の模試の点数はほぼ毎回満点で、9割を割る事はなかったです。昔の学力水準に早く戻したいです。7回視聴後の自己採点での過去問演習の得点率は大体8割です。当時の記憶と比べると忘れたものが多いと感じます。残念ながら加齢による能力低下で、十代の頃のような記憶力は維持できていません。共通テストの歴史総合・世界史探求は67点でした。視聴後に点数が若干下がってしまったのは悲しいです。
得点率の目安としては、中堅国公立は得点率7割、旧帝大は8割、東大や国公立医学部など特に競争水準が高い入試では9割が合否の目安だと思います。
視聴時間記録
スマホアプリで計測しています。2022年は2,120時間観ました。2023年以降は2,000時間を目安に毎年観ています。また、昨今の受験市場の過熱により、高偏差値帯で求められる水準が更に高くなっています。無料動画教材も年々充実しています。そこで、勉強予定時間を10,000時間に増やします。完了予定を2030年頃を目安にしています。
2022年は春、秋に気温変化で体調不良を起こすようになったので、勉強に集中できませんでした。若い頃のように体力がないのでもどかしいです。2022年の1年間で5,000時間視聴する計画だったので、計画の4割しか実行できませんでした。
2023/1は画像未編集ですが、155時間に減りました。給与支払報告書など労務関連業務、償却資産税など税務関連業務、日本独自仕様のインボイスと呼ばれる消費税関連の税務業務に追われた為です。2月も代表個人、法人の確定申告がそれぞれありました。
週毎の集計をまとめても実質的な意味はありません。あくまで嘘ではなく、実際に教材を視聴した証拠として記録しました。せいぜい学力の世界だけでは正直でありたいものです。
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1年間で視聴した時間 |
月別の視聴記録
編集が大変なので、1年間で画像編集は止めます。視聴は継続します。
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2023/1 155時間 |
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2022/12 190時間 |
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2022/11 210時間 スマホ機種変更 |
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2022/10 一日平均6時間、月170時間 |
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2022/09 一日平均5時間、月150時間 |
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2022/8 一日平均7時間、月200時間 |
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2022/6 6.5時間、月190時間 |
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2022/5 一日6時間、170時間 |
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2022/3 一週間統計を取り忘れています。一日8時間です。月240時間 |